1.子どもたちの状況と療育実践
療育センターでは、その子どもの年齢や発達段階に応じてグループ分けを行い、
主に三つのグループく0〜2歳「わんばく教室」(母子療育)。3〜6歳「つくし」
(単独小集団療育))にわけて療育実践を展開しています。
この実践に登場する「つくし」の子どもたちは、3〜6歳までの子どもたち15名
で、日常的には10名前後の集団です。(新入園児 6名、継続児 9名)
子どもたちの状況は、移動の自由は獲得しているものの、目的性に乏しく、
24時間の生活リズムがまだ充分に確立されていない子や、友だちとあそびの楽しさを
共感しにくく、視覚や感触の常同的なあそびや一人あそびの目立っている子どもが多く、
なかなか集団としてまとまりをもってあそぶことは出来にくい状況がありました。
 それでも前期の活動の節目でもある「運動会」では、お母さん・お父さんたちの協
力ももらいながら、みんなで音楽リズムを楽しんだり、かけっこを楽しんだりというように、
少しずつまとまりをもった活動も出来はじめていました。
3.2学期後半からの療育実践より
【佃あそび】

 子どもたちのからだの動きと、生活動作、あそびの実態がわかる中で、動き回る
あのからだと心を思いっきり開放させるあそびをつくりたい!もっとからだを上手に
使って、色々な遊具であそべるようになって欲しい!そしてその事を通して、身近な
生活道具を上手に扱えるようになってほしい!などと、願いを職員集団で語り合いながら
一致させ、畑の土あそびを1つの実践内容として検討し、即実践していきました。
また、子どもたちの活動への期待を高め、目的や見通しをしっかりもたせるために、
大型絵カードを活動の前に取り入れはじめたのもこの頃です。
 秋口の畑の土は、はくほくと裸足で歩くと気持ちいい!動き回る子どもたちにとって、
身体全体を真っ黒にしながら走り回ったり、転げ回ったり、ボコボコ歩いたり、何をしても
自由な広い畑は、最高の空間でした。
 保育者が大さなスコップをもって「よいしょ、よいしょ!」と楽しそうに土を掘ると、
それを側で見ていたCちゃんが自分も大きなスコップを手にし、保育者と同じように
「よいしょ、よいしょ!」とかけ声をかけながら土を掘りはじめ、そうやって出来た
大きな大きな土山で、元気なKちゃんやAくんが何回ものぼったりおりたり…。
そんな仲間の様子をじっとみて、ゆったりペースのEちゃんは、少しずつ少しずつ
気持ちを高めていきます。口に入れたままの両手がいつのまにかとれて、両手を
しっかりと使って身体を支え、土の感触を確かめながら自分も土山に登りはじめました。
こんなふうに、この畑あそびでは、ばらばらにあそんでいたこどもたちが、自然と集まって
同じ場所であそんでいくという集団的育ちも見せはじめました。
 また、自閉性障害のMちゃんは、今までいろんな素材を使ってのあそびも、指先や
手のひらでさわって感触を楽しむというあそびからなかなか拡がらず、職員もMちゃんの
あそびを拡げる糸口をずっと探りつづけていました。そのMちゃんに変化が現れはじめた
のは、何回目かの畑あそびで土に水を加えてどろんこあそびをした次の日でした。
 前日の名残でおなべにたまっていた水を見つけ、それを自分で土の上に引っ繰り
返したら、たまたまどろんこ状の土になりました。“あっ、おもしろそう!!
”ペタペタと触るだけでなく、手で泥をすくって木の板の上に並べたり、それをまた集めて
大きな塊にしたり、指を突っ込んで穴をいっぱいっくったり、とにかく自分でいろいろ
試しながらあそびはじめたのです。
 この時期を境に、いっも頭を悩ませていた食事では量も種類も拡がりを見せはじめ、
こうやってめいっぱいあそんで全身真っ黒になるこの活動では、活動後の着脱指導も
活きてきました。お母さん方に、登園の際、子どもたちに着替えを一式
(上下服・パンツ・肌着・靴下)いれた手提げ袋を持たせてもらい、畑から帰ってきた
子どもたちが自分で袋をロッカーからとりだし、プレイルームでみんな一緒に
着替えられるようにしました。身体が固くて思うように身体を動かせず、着替えにと
まどって泣いていたKちゃんも、汗をかいて泥だらけの服を着替えたあとの気持ちのよさの実感のなかで“きれいきれい”と自分でも口にしながらリラックスして着替えられるように
なりました。
 わたしたちはこの畑あそびで、実践をつくるとさ、目的の持ちにくいこの子供達に対し、
身体を通して実感させること、そして具体的な見通しを持たせることが大きな発達の
カギとなることを改めて痛感し、そのことは、活動の前の大型絵カードも含めて
その後の実践の充実へと大きくつながっていきました。