実践報告(1996年度)

鹿児島子ども療育センターは1984年その母体となった「あすなろ療育相談室」の
開設以来13年間、地域における障害児の早期からの発達援助活動に取り組んできました。
 “どんなに重い障害があろうとも、一人一人の子どもの精一杯の発達と自己実現を
保障したい。それができる社会的条件をつくりあげたい。乳幼児期から老年期に至るまで
地域のなかで、継続的で一貫した対応がなされるような発達保障システムを確立したい。
そして障害をもっ子らが一人の人間として豊かに育ち、幸せに生活することのできる
地域社会を実現したい。”こうした願いをもって取り組みをすすめてきました。
それは、障害を持つ子どもたちをはじめ、すべての子どもたちが、更には大人たちが
“人間らしく豊かに生きる”ことの内実を創りだすことでもあることを確信しています。
 障害をもつ子とその親たち、一人一人との出会いを大切にして取り組みをすすめ、
取り組みを通して得られた子どもの発達的事実、掘り起こされた親と子の願いを
みんなの願いへと太らせていくなかで、現在のような療育センターのシステムが
確立されていきました。
そんななかで、障害を持つ子らが今、生きる力を蓄え、地域のなかで生き生きと
生活する姿が多く見られるようになってきました。
《’96年度の実践》

’96年度は鹿児島市でも「障害者福祉基本計画」が策定され、その計画実施一年目の
年として、療育センターに発達相談員、作業療法士の登与が実施され、実践がより
充実・発展を迎えた年でもありましたが、療育センターを利用する子どもがどんどん
増えるなかで、改めて、日常の療育実践の有り様や療育体制を考えさせられた年で
もありました。
 療育実践では、子どもの見せる姿を発達や障害から捉えなおし、どんな力を子ども
につけたいのかを職員集団で一致させ、子どもの要求を大切にした毎日の療育実践づくりを
すすめました。
特に今年度は、“子どもの発達は楽しいあそびと確かな人との関係づくりから”を
テーマに子どもの発達に応じた楽しいあそびづくりを徹底してすすめていきました。
 一年間の取り組みは、大きくは前半期の「運動会」、後半期の「大きくなったお祝い会」を
目標に展開されていきましたが、後半期は特に、年度終わりの「大きくなったお祝い会」での
子どもたちの姿を『こんな姿を見せてほしい!!』といった願いから丁寧に展開していきました。子どもたち一人一人に“あ〜おもしろかった!”というあそびの楽しさの実感を
持たせられるような内容とその実践的方法が日々の療育実践で追求されると同時に、
発達と障害に視点をあてた子どもの理解を日々の実践のなかでどう具体化していくのか
ということの学習を重ね合わせながら、実践をすすめていきました。
 日常の実践に発達と障害の理解を重ね合わせて取り組みをつくろうとするとき、
難しさばかりが前面に出て、なかなか実践がすすまないことも多々ありました。
決して平坦ではなかったこの一年間の実践ではありましたが、私たち職員集団は、
願いを一つにし、その実現に向かって絶え間ない努力を重ねるとき、子どもは
変わるということを実践のなかで教えられました。
 今後は、どんな貧しい実践であっても、一つ一つ丁寧にひもときながら、子どもたちの
発達の事実を少しずつ理論化できるよう、更に実践・研究を深めていきたいと思います。