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 10.2 全微分

  X=Scosα において、Sもαも変化した場合の微分は全微分です。



  さて、X=Scosα において、Sが一定でαのみが変化したときのXの

 変化は、

    

 ですから、両辺に∂αを掛けると、

    ∂X=−Ssinα・∂α

 となりますね。

  ここで、∂をdと書きなおすと、

    dX=−Ssinα・dα

 となります。



 同様にして、αが一定でSのみが変化したときのXの変化は、

    dX=cosα・dS

 となりますね。



  したがって、変数αと変数Sが同時に変化したときのXの全変化量dXは、

 これらの和になりますから、

    dX=−Ssinα・dα+cosα・dS

 です。

  これが、X=Scosα の全微分なのです。



  上の式において、

    

 とおきますと、

    

 と書くこともできます。






  ここで、関数z=f(x,y)の場合に、その全微分を図に表してみます。

図9.1 点Pにおける接平面

WEB数学講義 松田 克己様の図を参考にしました。

図9.2 接平面上の点P付近をルーペで拡大

図9.3 点Pと点P’の関係(ルーペで拡大したところ)




 図9.1から順に見てください。

 図9.3において、P’C=P’D+DC=AB+FE つまり、

    

 となりますね。





  すこし、練習してみましょう。

  (1)z=3x+5y を全微分せよ。

     ∂z/∂x=6x

     ∂z/∂y=15y

    ですから、

    dx=6x・dx+15y・dy
    dz

    となります。

   99.5.15 ※たかだよ様からの指摘で誤りを訂正


  (2)y=Ssinα を全微分せよ。

     ∂y/∂α=Scosα

     ∂y/∂S=sinα

    ですから、

    dy=Scosα・dα+sinα・dS

    となります。




  りょうかん:どうですか?

  宮城:先生、意外と簡単ですね。これなら、わたしもやれそうです。

  りょうかん:でしょう。慣れると楽しくなりますよ。

  豊倉:なんだか、微分のプロになったみたいだな。

  りょうかん:これからもコツコツ勉強してくださいね。


 次回は、最小二乗法です。

 これでおわります。             


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