BottleMail ぎゃらりー

こんなものを出しました。

2000年4月

仕事が終わり、家路につくと、建物の隙間に月が出ていた。日常から解放される瞬間だ。
いつもなら見過ごしてしまうチッポケな月。こんな隙間に在る月を、どれほどの人が気づくだろうか?皆から見捨てられ、忘れられた月...
僕らが日々の生活に没頭し、月のことを忘れてしまっていること。この事実に、僕は、月のことが少し可哀想に思えた...

だけど、この月は、遙か太古の昔から、そこに在る。遙か真空の宇宙にひとり居座っている。地球を眺め続けている。
月から見れば、地球はただの景色のひとつに過ぎない。まして人間など見えているのだろうか?
月の人生に比べれば、人類の歴史など塵のようなものだ。
僕らが毎日、文明を発展させることに一喜一憂していることを、月は気に止めてくれているだろうか?そのうち僕らが滅んだ後に、月は僕らを想いだしてくれるだろうか?
チッポケなのは僕の方だった。広い宇宙のヒト隅で、幾つもの偶然の果てに存在しているチッポケな僕は、月のことも忘れ、遠くの星々のことも忘れ、ただ、ちっちゃなヒト同士のつき合いだけに目を向けて、毎日生活している。

僕らから忘れ去られている事を、月は微塵も気にしてないのだろう。

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