研修会レポート
 
@「固定資産税のための鑑定評価」講習会レポート
A「土壌汚染と不動産鑑定評価」講習会レポート
「固定資産税のための鑑定評価」講習会
 
(社)鹿児島県不動産鑑定士協会
研修指導委員長 大吉 修郎
 
(社)鹿児島県不動産鑑定士協会では、さる平成14年8月、研究指導委員会が中心となり、講習会を開催しました。
 
■講習会名 固定資産税のための鑑定評価
     第1部 固定資産税鑑定評価書の読み方
     第2部 質問事項への回答
■日  時 平成14年8月8日
■場  所 鹿児島市
■参加人数 約180名
     鹿児島県下各市町村の固定資産税担当者 約140名
     (社)鹿児島県不動産鑑定士協会員等  約40名
 
開催理由は、私どもが平成14年3月末に納入した「固定資産鑑定評価書」に対し、これまで一連の評価作業に立ち会っていただいた税務担当の方から、
 「固定資産鑑定評価書は専門用語が多くて分かりにくい。」
 「担当を変わったばかりで評価についての基礎知識がない。」
 「前任者から引き継ぎを受ける期間がなかった」
 「これでは住民の方に説明を求められてもなかなか対応できない。」
といった声があがっていたからでした。
 それではということで、研究指導委員会で講習会を開催することになったのですが、少しでも良いものをと、各市町村担当者にアンケートをお願いし、何が知りたいのか教えていただきました。
 アンケートをもとに、研修指導委員会6人で何度も何度も講習内容を検討し、次のようなものができあがりました。
 
■第1部 固定資産税鑑定評価書の読み方
       講師:研究指導委員長 大吉修郎
 第1部は、今年初めて、税務課に配属になったり、土地評価担当になった方を対象にしました。
    ● 鑑定評価の3手法
    ● 鑑定評価額と標準価格
    ● 鑑定評価書の流れ
の3つのポイントを中心に、固定資産税鑑定評価書をテキストに解説を加えていきました。鑑定評価書は初めての方には難しいので、テキストは役場に戻って見直しても分かるように、また他の方が見ても分かるように、3年後でも分かるようにと工夫を加えました。
 
■第2部 質問事項への回答
       講師:研究指導委員 田中敏昭 前原秀昭 森山俊孝 山崎洋禧 中澤保治
 第2部は、実務経験者を対象としました。質問事項はあらかじめ市町村から集め、鑑定評価基準に照らし整理しました。各研究指導委員がそれぞれ事前に資料を用意し、分かりやすく解説をするというスタイルを取りました。様々な質問を短い時間で解説するのは難しく、途中で活発な質問もなされ、予定時間を30分もオーバーしたにもかかわらず、席を立つ人もなく、熱心にメモを取る姿が目につきました。
 
 
<質問事項>
 ● 最近の地価動向について
 ● 状況類似地区の見直し、標準宅地の選定方法等も今後の対策として教えていただけたらありがたい
 ● 標準地・基準地の選定方法について
 ● 土地の地目は、登記簿上の記載に関わらず、土地の現状によるとなっているが、宅地の場合家屋がなく(もしくは廃墟)で荒廃している場合の認定について
 ● 雑種地の現況(宅地比準土地〜原野)に応じた評価方法について
 ● 田舎の散在地区の評価基準
 ● 3種類の評価方法の相違点、方法の適法条件等
 ● 鑑定価格の在り方(適正価格とは)
 ● 鑑定価格と売買実例との差の考え方
 ● 公示価格の決定方法
 ● 実例売買との比較
 ● 路線価格=(鑑定評価価格×0.7? 標準価格×0.7?) 法的根拠をお願します
 ● 公示(基準)価格は鑑定評価価格か 標準価格か?
 ● 利用制限をうける土地(例:崖下の土地など)の評価について
 ● 市町村合併に伴い、評価にどういう影響を与えるか、また今後予想される問題点など教えていただきたいと思います。
 ● 2003年1月より鑑定基準が見直されるが、それによる固定資産税鑑定評価への影響
 研究指導委員の手作りの講習会で、慣れないなか参加者も予定を大きく上回ったことから、うまくできなかったところもありました。終わった後からああすれば良かった、こうすればもっと分かりやすかったと思いましたが、参加された方々のお声を聞いて、鑑定士冥利につきました。
 「このような講習会を開いていただいて、本当にありがたい」
 「このようなすばらしい講義なら録音しておけば良かった」
 「今日来れなかった職員にも聞かせたかった」
 
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「土壌汚染と不動産鑑定評価」講習会
 
研修指導委員長 大吉修郎
 
研究指導委員会では、さる平成14年9月、つぎのような講習会を開催しました。
 
■講習会名 土壌汚染と不動産鑑定評価
■日  時 平成14年9月18日
■場  所 鹿児島市
■講  師 (財)日本不動産研究所
        研究部 廣田 裕二氏
■参加人数 65名
        (社)鹿児島県不動産鑑定士協会員等 43名
        鹿児島県外不動産鑑定士        10名
        地方公共団体(鹿児島県・鹿児島市) 12名
■履修単位 2単位
 
開催理由は、不動産鑑定評価基準の改正を受けて、これまで考慮外としがちだった土壌汚染を、不動産鑑定評価により正確に反映させるためです。
 講師の廣田先生は、アメリカ留学中に土壌汚染について学ばれ、帰国後も各地の土壌汚染地の鑑定評価に携わった経歴の持ち主で、土壌汚染の実態から鑑定評価の手法まで、実例をあげて詳細に講義していただきました。今後、鹿児島県内でも閉鎖された工場跡地等の鑑定評価が徐々に行われるものと予想され、会員の実務にとても役立つ内容となりました。
 
<講義内容>
1.総論 2.評価の前提
 −不動産と土壌汚染
 −代表的事例(ケーススタディ)
 −意識の変化
 −法的責任
 −「土壌汚染対策法」
 −東京都環境確保条例
 −不動産鑑定評価基準改正
  ・米国における鑑定評価と土壌汚染問題
  ・各種調査方法
  ・調査と鑑定評価
 −土壌汚染関連ビジネス  −土壌汚染とは?
 −浄化とは?
3.土壌汚染地の(鑑定)評価
 −評価方法
 −適用上の問題点・限界
4.質疑応答
 
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