屋久島 E
照葉樹林帯

白谷雲水郷 散策路

屋久島の森の木の話

写真は撮り忘れたが、屋久島の森の中に目立つ樹があった。
名目板に「ヒメシャラ」と出ていた。すぐ頭に浮かんだのが
紗羅双樹の花の色・・の「平家物語」・
これは、花の朝咲き、夕べには落ちる短い例えの話だが
シャラは夏椿で、ヒメシャラ「姫紗羅」はさるすべりの種類らしい。
ちょっと混同もあるかもしれないので、とりあえず、この木は皮が、てかてか光り
サルスベリによく似ている樹だ。これは、屋久島の森のこの樹自身が一年に一度
皮を外すという。寄生しようとする植物や苔などを付かぬように脱ぎ捨てるとか・・

屋久杉が、たくさんの植物を自分の身に宿らせているのと、大違いだ。
屋久杉には、そこに落ちたツツジやナナカマド・石楠花の花などが着生し、
花を咲かせたりしている。複雑な形なので枝や幹、色んな場所に植物が
生育する。これは、雨が多く、湿度の高い屋久島の森ならではのこと。
有名な紀元杉には、ヤクシマシャクナゲが着生していた。

杉の世代交代も色んな例があり、きり株や倒木の更新がある。
いずれも、森の巨木が倒れたあとに、光りを好む若い命が生まれ成長する。
数百年たつと、その切り株や倒木は新しい樹の、古い土台となる。


屋久杉

屋久杉は、成長が遅く、年輪の幅が緻密で、樹脂分が濃く、一般の杉の六倍以上も含まれているとかで、腐りにくいのだそうだ。
杉の大木・屋久杉には、真っ直ぐの綺麗な杉はほとんどない。ごつごつして、穴の空いたのや不恰好なのが多い。だが、それが年輪を重ねて、とても重厚で良い表情を見せる。幹の凸凹が激しくて、材木として利用出来ないから、残ったものだ。屋久杉は長い間何を見てきたのだろう


ガジュマルの木

島内の平野部のいたる所でこの木を見ることができる。島の北部・志戸子には、林になったガジュマル園がある。気根をたくさんぶら下げて、ほかの木に間借りし、その木を成長した根で詰めつけ、やがて枯れさせてしまう。
森の中では、森の絞め殺し屋のヤマグルマがある。幹を覆って根を絡ませ、締めつける。屋久杉に絡んで食いこまれたヤクスギも見られる場所がある。


屋久島の成り立ち

およそ1400万年前、海底にあった四万十層の表面を持ち上げ、巨大な花崗岩が隆起する地殻変動があった。
これは、マグマの力による偉大なエネルギーである。そして、海上からも2000mも、もちあげて、洋上アルプスをつくっている。この花崗岩は屋久島を構成するほとんどの部分を占めているそうだ。
つまり、島の周りの海岸に四万十層や第4系を残し、その殻を突き破って山が出来た訳だ。
この時の高温で、かなり硬いホルンフェルスの変成岩ができたと考えられる。
滝などは、水の勢いで地形が変えられるが、屋久島ではなかなか、変化しないものが多い。
この硬いフォルンフェルスのせいである。

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