鹿児島の竹

鹿児島と竹は切っても切れない関係があり、神話にも深い関わりのある物語が、沢山残されています。
また、竹にまつわる祭り・行事も数多く、鹿児島の地名にも竹に関するものが100ヶ所近く残っています。


高千穂の峰に降り立ったニニギノミコトは、吾田の笠狭御崎の、コノハナサクヤヒメを嫁とり
山幸彦ほか2尊を生み、竹刀で臍の緒を切ります。捨てた竹刀はのちに竹林になったとか。
その場所を竹屋と言う。{日本書紀記載} この地、野間半島はドルメン(支石墓)式墓墳のある場所。

山幸は失った釣り針を求め無目籠{竹製}の船に乗って出かけます。籠が鹿児に通じるとか。
枕崎の鹿籠がその発祥だとか、かご山がそれだとか、いろいろ言われているようです

500万・200万年前の竹の化石が発見されたり、縄文時代は土器に竹が押し当てた紋様や
弥生時代は竹櫛・竹玉等、製品が見つかったり、古代から竹の利用が続いているようです。

鹿児島には80種とか35種(自然自生)とか竹の種類があると言われ、鹿児島特有のものも多い。
孟宗竹は中国から島津氏が移入したのが全国に広まったのであり、他に火縄銃に使うためとか、
薬園を作るためなどに、輸入したものもあるようです。ほか、自然発生したのが鹿児島県だけと、
いうのもいくつもあります。生活に密着したメゴ(篭)・ショケ(ざる)・釣り竿・びく・弓矢・楽器・建築物・
垣根など利用はもちろん、エジソン発明の白色電灯のフィラメントにも、竹が利用されたのは、
みなさま、よくご存知のことだと思います。

鹿児島の竹の子
竹林面積日本一、種類も豊富、食用としての竹の子もたくさんの種類があり、
暖かい地方なので、同じ種類でも出荷が、ほかの地域より早く出せます。
竹の子には「デミョウ・コサン・カラ・モソ」とか「デメ・コサン・カラ・ハッチッ・モソ」と
(出目子さんから発っちもそ)美人でない子から逃げ出しましょうと言うような、
実は美味しい竹の子の順番を言っている、語路合せみたいなものがあります。
各地で美味しいと言われている孟宗筍も、薩摩では最後に列せられてます。

カンザンチク だいみょうだけ
その美味しさ一番、鹿児島では、デミョウと呼ぶ。デミョウとは「大名」のことでもあり、大変美味しく、見た目もそれらしく立派で、大名が食べるに相応しい筍である、説。
国分市のお寺に台明寺というのがあり、ここの台明竹は天智天皇時代、笛として青葉竹を朝廷に献上したとか、三国名勝図会にも青葉竹の名産地として記載されている。この台明竹(だいみょう・でみょう)と二つの説があるが、美味しいに変わりはない。夏場にとれる。

ホテイチク 布袋竹 こさんだけ
二番目に美味しいとされているのが、このコサンチクこと布袋竹です。呼び名も沢山ありコサン・コサンダケ・ゴサンチクとも言われ、親は節が詰まってますが、筍は大型化するのも多く、「メダケンコ」とも呼ばれます。親より太く長いのもある。

カラダケ
孟宗竹の後、5月中旬ごろ筍が出てきます。物干し竿や、カツオの1本釣り竿などに利用します。ただ、ちょっとややこしいのが、ハチクとも混同している人が多く、また、マダケのことも鹿児島ではカラダケと言うものだから、このマダケの竹の子が苦く、「ニガダケ」とも呼称され、ほかにも別のニガダケがあり、すごく混乱を招くもとにもなっています。

ハチク 淡竹 
カラダケやマダケとよく混同。
新しい竹は白いので区別つきやすい。
竹の子の皮は黒いゴマの模様がなく白っぽい。

モウソウチク 孟宗竹
一番早く竹の子がとれ、筍自体も大きく、食用として利用がメインになっています。
島津氏が移入した2本が全国に広まりました。その直系の子孫が磯の別邸に残っています。残念ながら鹿児島では、他に美味しい筍があるので、一番最後に列せられています。


コサンの剥いたもの
節が一部布袋の様
左5本カラダケ、右ハチク3本 コサンチク(布袋竹)

コサン=布袋竹 撮影2004.4.30 コサン 撮影2004.4.30


コサン 撮影2004.5.3 デメョウ・大名「台明」・カンザンチク・琉球竹


メダケ 
出始めは、カンザンチクと似て、緑色をしていますが、太さが全然違い、味に関しては月とすっぽん。ほとんど食べませんが、一部で灰汁や苦味を取り、シナチクのようにしているところもあります。空き地を1年ほっておくと、この竹が入りこみひどい思いをします。


胡散臭い布袋竹の解説でした。実は、うさんちく鵜山竹も竹の種類にあります。

リョクチク 緑竹 
ホウライチクと良く似ているが、食用の竹の子を取る為に、移入したもので、筍は太く大きい。竹の子の王様と称されるけど、個人的には、苦味を感じてる。そのえぐさがないとは言うが・・しゃきっとした歯ごたえがある。夏場にとれる。


ホウライチク 蓬莱竹 
ダイミョウチクとも、メダケとも見た目は似ていますが、このホウライチクと、リョクチクは地下茎があちこち這って行かず、まとって丸く生えます。竹の子は写真で見ずらいが、細くて硬いので、ほとんど食用にはしません。


だいみょうちく。移植の為に掘ってきた。左後ろは筍 モウソウチクの筍