栗野岳温泉をゆく

鹿児島空港から霧島連山を見る。人物頭上高千穂・ANA上韓国岳・左端栗野岳  

栗野岳温泉紀行                                                              2002.1.31

上京の際は空港近くの駐車場に車を留めていることが多い。帰りに、そこからの直接温泉行きも珍しくない。
出かけたかった栗野岳温泉に向った。駐車場の若い親父に聞くと、高速でも下の道でも30分位だと言う。
JR栗野駅のそばの丸池湧水も見たかった。池は田舎の駅ホームからも見える近場にあったが、少し捜してしまった。霧島にしみこんだ水が湧き上がり、とても澄んで、白い砂を吹きあげて湧いているようで、魚も泳いでいるのが見える。これなら日本百名水に上げられている訳だ。

岩に名水丸池の文字・右水のみ場 透明度の高い涌き水の池


早々に温泉に向うべく、そこから山道に入る。杉やヒバの林の中の道を登って行く。前に軽トラと軽が2台連なってゆっくり上って行く。案内板や景色の変わった・退避地の広くなった場所場所で車を止めて、時間をやり過ごし登って行く。15分も登ったか、二台の軽は道路脇の駐車場に止まった。私も、そばの区切りの枠の中に止めた。
本や写真で見た温泉旅館「南洲館」本館がすごく仰いだ急角度で立っていた。その後方に噴気がもくもくあがっている。
温泉セットを下げたおばさんが階段を降りてくる。きょろきょろしてる、すぐあとから、ダンナが出てきて、一緒に駐車場にきた。
本館左に受付があると言う。受け付けで入浴したいと言うと、200円ですと返事。全部の温泉に入りたいと答えたら、500円。

まず、明礬緑礬泉の「竹之湯」からが良いという。そこに向った。建物うしろから湯気の出ている八幡地獄を先に見ようと、サンダルのままで登る。沢沿いに温泉水が入りこんでいる。急坂を登って行くと硫黄の匂いが強くなって、足ごしらえはなんとかなるが、噴気の中はつらい。思わず咳き込んでしまった。煙の中は木々の葉っぱも枯れて、白い成分が付いている。ほんの入口脇の地獄を覗いただけで、引き返し、温泉にはいる。ここの地獄の広さは、登別にも匹敵する大きさだという。危険な場所もあるので禁止場所などには立ち入らぬよう。

竹之湯の中では海軍の戦闘機乗りだった人が他の二人に、声高々に語っている。浴槽に入れてもらおうと声をかけて挨拶をして進む。
浴槽の周りの段が普通より広い。これは全体が浅いのかと思った。やや緑がかった白濁した温泉で、中が見えない。酸性度が強いと聞いていたが、ぬるぬる感がある。明礬泥湯のせいだろう。足にぬゅるっの灰色の泥がさわる。沢に流れていたのと同じような感じだ。先にはいってた3人の白いタオルはグレイと化している。

区切られた奥に、沢から直接と思われるような、ちょいとぬるめの打たせ湯がドトッと落ちていた。
上がり湯も水道もなく、効能そのまま身体に染み込ませ、タオルで拭いてジャンバーをはおり、ズボンだけチャック(古いねぇ・ファスナーだった)で挟まないように注意してはく。セーター・下着・靴下・パンツは丸めて抱えて外に出る。
東京の寒さに鍛えられていたし、日中でどうにか暖かい。でも、樹氷の出来る日もある寒い場所でもある。


竹之湯建物・後の煙は八幡地獄

次は桜湯の脇を抜け、蒸し風呂に行く。左に南洲翁遊猟の碑が立っている。こちら側からも地獄に行ける。
この蒸し風呂の脇にも温泉沢が流れ、うなぎのスメのような蒸し釜がある。ここで作った鶏の丸蒸し1200円はこの温泉の名物になっている。
蒸し風呂は、貸し切り状態誰もいない。小さな浴槽か掛け湯か・水と、ぬる目の湯の花の混じった二つの浴槽?があり、奥にドアが二つある。高い方を開ける。ちょっとしか暖かくない。長く入るのならよいのだろうが。長時間入ってラドンを沢山吸うのなら・
もうひとつの低い扉を引いて中にかがんで入る。うん、これならウエットサウナ。少しいると、じわっと汗が出てくる。物によると、ラジウム含有量が日本一という人もいる。残念ながら効能書き・分析表の類は掲示されてないようだ。大汗をかき、ぬる目の温泉を身体にかけて、また、ジャンパー・ズボンだけで桜湯に移る。


西郷遊猟碑、右の建物ラジウム泉蒸し風呂とラムネ泉あり

桜湯は洗い場が広い。水も出る。ここも貸しきり。この温泉は分析表も貼ってあり、硫黄泉とのことだ。ここのラドン含有量は1.64、百億分の一マイクロキューリー。(蒸し風呂のラドン含有量)が知りたかった。
硫黄の匂いがもちろんして、やや透明で、白い湯の花がいっぱい漂っている。鏡もあり、ここなら温泉セットも活用できる。ヒゲをあたって、すこしぬる目だったが、数回浸かって出る。源泉は50度以上あるのだが
冬場なので寒いのか・木造ではあるが、天井も高く窓も開けてあるようで、熱めの好きな私には、ちょっと温く感じた。4つ目の源泉は飲料のラムネ泉だ。西郷隆盛が3ヶ月間逗留したというだけあって、自然・温泉を満喫できる場所だ。


硫黄泉の桜湯内部

この温泉をもう少し先に行くと、レクリエーション村やアートの森・キャンプ村
そして、大霧地熱発電所がある。発電所は噴気穴があちこちあり、先日有毒ガスで事故騒ぎがあった場所も近い。そして、野々湯温泉へと続く。現在の霧島火山がだんだん西に移動していった古い噴火口跡とのこと。途中からも、韓国岳の積雪が眺められた。野々湯・牧園経由で空港に戻り、帰宅した。

右噴煙大霧の地熱発電所・左雪山韓国岳 栗野の町から 栗野岳中腹 レクレーション村付近から