小さな旅 吹上街道日吉から湯之元に |
ここから先を走るのは何回目だろう。甑島のかえりを2回、妙円寺参りの帰りに1回、帰路だけの都合通行3回になる。(行きは別の道利用)
吹上までは、何度もきているが、これから先、日吉からは行きは初めて…トータル4度目か・・
左手・東シナ海・砂丘に沿って、国道270号を北上することになる。朝から空には雲ひとつない。
祢寝家武家門
日吉町は日置と吉利が合併した町だ。日置は島津分家で幕末の家老・桂久武らの居た私領、吉利もやはり幕末、西郷や大久保を束ねた城代家老小松帯刀の領地だ。吉利には一度立ち寄っているが、また訪ねてみた。
小学校の周りが吉利麓で、武家門が残っている屋敷がいくつかある。ひとつをカメラで狙っていると、祢寝清某とある。小松に改姓前がこの祢寝「ねじめ」なので、吉利領主に縁が深いのだろう。
小学生卒業制作・帯刀像
縁といえば、この小松帯刀とも、血はとても薄くなってはいるが、私にも同じ血が流れていようだ。帯刀は喜入領主の肝付兼善の四男で、小松家に養子入りした。私の曾祖母は、その肝付から嫁にきた人だ。
帯刀の住居・仮屋跡は、いま小学校の隅の薮となっている。
お墓に向った。道を聞いたおばあちゃんの説明では「三文字を右に」とのこと。「ん・」と思う。鹿児島ではT字路・三叉路を「さんもんじ」と言う。「十字路が十文字」はよく使われていて、おかしく感じないが、やはり三叉路が耳慣れた言葉だ。1キロほど先を右折した高台に墓はあった。道も整備されていて、墓も綺麗になって花も供えられている。南を向いた正面に麓方面、右に東シナ海を眺め、明るく日当たりも良い場所にある。
日吉町は中世には日置北郷と呼ばれ、日置南郷・伊作荘と共に、下地中分の地図と説明が残っている荘園で、歴史の教科書などに記載されている有名な場所である。
のどかで車の往来も少なく、交差点真中に落ちていた一個のサツマイモを信号待ち後、発車の折、走りながら拾ってみたが、それでも車は来ない。
しばらく走り、柿の実がたわわに実っている畑の先で、右折し、海から離れ山道らしき街道を入る。
目的地は、ヤッコソウの発生地である。この植物は椎の木の根に寄生する。姿かたちが、江戸時代の奴さんに似て、ツチトリモチと同じようなもの。生育するのも、室戸岬・足摺岬・宮崎の一部・鹿児島・そして、島伝いに赤道方面まで。去年も、妙円寺参りの帰り、捜したが見つからなかった。こんどは充分勉強して出かけた。地図帳とナビに記載されている場所で車を止め、長靴をはいて林の中にはいった。
しかし、イタジイやスダジイの樹が分からない。20m以上はあろうかと思うてっぺんに葉っぱがついている。実も見えない。下にも落ちていない。道路の上からでなく、下から回ろうと車で移動。かなり先に登って行ったことになる。眺めの良い急坂をくだる。鹿児島本線の鉄道に沿って戻り、見当をつけたところで左に上がった。そこは神社に出る道で、カメラを持ってた人が居たので聞いてみた。社の柱を記録していた。ヤッコソウはこの脇にもあるようですよと言う。すぐ横の木の根を見る。ある、小さいのが少し。星原さんの裏山にいっぱいあるから、地図を書いてあげるといって、ふたりしゃがんで説明を受けていた。パンパンとお参りの拍手がし、こちらに人が来た。なんと、その人本人だった。で、案内してくれることになり、車でついていく。ちょうど鹿児島読売テレビの取材があったばかりだと言う。
車のリアウインドウに「ヤッコソウハウス」と書かれている。ほんの少しで車は止まり、急坂を歩いて登る。星原さんの自宅から黄色いヒモで裏山に上る道を作ってある。すぐに林の中に、やはりヒモで区画があり、ならんで発見。可愛い・思わず声が出る。数ヶ所で写真を撮る。
ヤッコソウ 原寸・等倍くらいのサイズ
お礼を言ってついで、立ち寄りの温泉を聞く。ここは湯之元と言う、島津のお殿様も利用した温泉場である。入らない手は無い。昔からある「うっごん湯」を紹介してもらう。案内もしてくれるというが断り、何回か迷って駅のタクシー運転手に聞いたら、これまた丁寧に鋭角切り返しや、工事中など詳しく教えてもらい、今度はすぐに到着。詳しくは「鹿児島の温泉・北薩湯之元」に
「うっごんゆ」は省略発音だな、とは分かっていたが「打込湯」とは気づかなかった。温度も泉質も異なった二つの温泉を楽しみ帰路につく。
国道3号線は鹿児島市内入口が混むので海沿いを帰る。江口港にでた。東シナ海に甑島が浮かんでいるのが見える。晴れてはいるが、遠いので写真には写るのがむずかしいだろう。野間半島は近く、太陽の照り返しで良く判りやすい。名古屋ナンバー車のカップルがルアー釣りをしていた。この浜は釣りのメッカでもある。堤防の先にもたくさんの釣り人がいる。
鹿児島の釣り雑誌で見かける釣り船がいて、船長と話し始める。そこに釣り客がふたり戻ってくる。100リットル位のイグロークーラーボックスに満杯に魚が入っている。二人分と思ったら、一人のクーラーはもう積み込んであって、一人分だと言う。マダイ2キロクラス・チダイ30センチオーバー、イサキ・メジナなどいっぱいで、ひとりでは車に乗せられない重さだ。そのうちここに、船釣りにも来たい。
江口蓬莱浜 ・ 右後方金峰山
漁協売店で、鮮魚も売っている。イサキとカマスと30センチほどのニベ「イシモチ」を各2匹づつ買い、430円払う。私・長いこと釣り人ゆえ、新しいかかどうかの見分けは、魚屋並みと思う。
太陽のギラギラが強くなって、また快晴。東シナ海に沈む夕陽もこれならすっきり撮れると、ちょうど伊作川河口の砂丘に車を着ける。
野間半島の突端より先、駐車して10分も待たないで日が沈んだ。
野間半島・突端先に夕陽が沈む。吹上浜より