南薩摩・揖宿道を行く「茶畑」と「岩戸温泉」
喜入から県道234号線を登って、薩摩分水嶺の指宿スカイラインの終点近い橋の下を抜けると道は下りになる。
この付近からお茶畑がはじまって、はるか下の東シナ海に落ち込むところまで続いているのじゃないかの錯覚におちいる。「日本一頴娃茶」の看板があるが、ここを見ると正にそうじゃないかと思える。今日はその茶畑を見たら、黄色・黄緑・何というのか、黄色の雪をかぶった畑のように、新緑のお茶が見える。山の新緑の緑は見なれているが、お茶の新緑はすごく新鮮に網膜に焼きつく。
あまりの見事さに県道からはずれて、茶畑の道に入る。デジカメ2台も、一眼レフNikonも2台積んでいる。薩摩富士も見えているのだが、黄色い茶畑に圧倒される。
少し行くと、狭い農道に乗用車が停まっている。外に2台のカメラをぶら下げた人。
やはり、考えは一緒だ。
写真を撮ろうと思う人なら、きっとそうするだろう。
残念ながら、曇っていて光は全然よくない。しかも時間は午後3時過ぎ。
大野岳からの茶畑も良い場所があるので、とりあえずそちらに向ってみた。
大野岳に近づくと、黒っぽい茶が多い様だ。こちらが少し時期が遅れているのか・
日が少し射してきたが、光線の具合はよくない。それでも、何枚かシャッターは押した。
標高差500メートルくらいの上り下りで、反対側の国道に着いた。
石垣でソラマメを頂くことになっている。
もらった豆を車にのせて、枕崎に向う。226国道を一直線だ。目的地は「枕崎観光ホテル
岩戸」だ。
頴娃町・知覧町は山の町のイメージが強く、海なんか無いと思っている人がいるようだ。母もそうだった。しかし、それぞれ東シナ海に面した海岸線がある。そこをあっという間に通り越し、枕崎市境に入ってすぐ、はるか先のほうで、道路にカラスが着地してきた。別に黒い塊があり、連れのカラスでも車に当たったかと思っているうち現場に来た。
塊は頭をもたげた様に見えたが、黒い猫だった。もちろん右に大きく避けて抜けた。
後続の何台目かの車が一台止まったようだ。猫でも轢くなんて、なんてヤツだろう。可哀想に・
猫は5匹飼っているので、ほんの直前まで生あったモノが、無に帰するなんて悲しくなる。
岬に着くと、湾が一望でき、下りになる。坂を降りきる手前、市内の少し賑やかになろうとしている場所にホテルはある。目的は温泉だ。ホテルと回廊で繋がってはいるが、温泉と完全に別れている。これなら入りやすい。証拠に地元の人ばかりのようである。かつて銭湯から始まったホテルは創業・昭和35年とか。国道を走っていては、温泉があると思えなかった。駐車場に入れて、温泉マークと岩戸温泉の文字を見て、銭湯があるというのがはっきり判る。
私はここのラジウム放射能泉というのが気になっていた。入口横の自販機で入浴券を買う。330円也。ホテルの温泉としては狭いが、ホテルには別のがあるのだろう。とりあえず入る。
身体を洗い、さて二つの浴槽のうちどちらに入ろうかと、両手をつけ検温。左手がぬるい。では、と入浴。浸かりきった途端、手先にビリっとくる。思わず腰を浮かし、声をあげる。ふたり入ってた先客が、真中を避けて・などと教えてくれたが、すぐ出てしまった。電気風呂だったのだ。「こんな狭いふたつしかない浴槽に、そんなもんいらん」
熱いのは好きだが、最初はぬる目からが良い。とも言っておられず、熱い方にはいる。「誰だ・こんなに熱くしてるのは・壁にも『他の方の迷惑やら、熱すぎるのは身体に良くない』と書かれているのに。これは45度以上ある」我慢して入ったら、不整脈が出てきた。しかし、ほんの一瞬で良かった。でも、二度もなった。
すぐ上がって身体や髪を洗い、壁の上を見る。効能書きや成分表が掛かっている。ほか、由来に、略史も出ている。
それによると、800年ほど前、平家落人武将権田新十郎が岩戸の山腹に隠れ住んだそうで、近くに涌き出た清水が疲労回復に効能あり、心身保養し、付近の住民にも尽くしたという。回復して去る時、戦場で守り神として持参の厳島神社の御分体をここに奉納したそう。岩戸権現と呼ばれ心身弱者、災害者に効験ある守護神として祭られている。この涌き水は、現在諸病に良く効く岩戸鉱泉として近郊の人に親しまれている。と言う。

窓からこの景色が見える 右下のエッジ加工写真窓参照
さて、内湯の写真も撮ろうとするけど、浴槽の向うに二人、脇にもひとり寝そべっている。窓の向うは海で、立神や火の神岬も見える。「どいてよー・絵にならないじゃない。しかもひとりは、洗面器を局部にのっけただけ」で眠り込んでいる。ひとりは恐いオニイさんかおじさんか・窓下も横も人が寝れるようなカーブになって幅も広い。
よく考えたら、ここはラジウム泉で、呼気からも吸収するためのスペースだったのだ。それでやっと理解。とりあえずシャッターは分からぬ様に3枚切ったけど、洗面器があっちゃ、鹿児島の温泉に載せられない。せめてタオルならネ。
銭湯タイプ温泉は、夕方を避けて、雨の日も避けて、早めの入浴といかなくちゃならない。入れ歯をはずして洗っている場面も目に入ってきた。さすがに浴槽ではないけど。そう言えば以前どこかの温泉場に、「入れ歯を浴槽で洗わぬように」の張り紙があったっけ。
さすがに熱くなったのか、水を多く出してあり、私も楽にはいれる温度になっていて再入浴。でも、蛇口のお湯の方はかなり熱く、桶から飛び出した熱湯で足の甲がヒリヒリし始めた。私も今日はかなりのオッチョコチョイである。
水風呂ひとり用・ジャグジー浴槽・電気風呂、蛇口5セット・
ラジウム含有量 33.5 百億分の一キューリー (9.21マッへ)

帰りに猫を見たら、端によせてあり、完全物体となっていた。