(2000/6/3)
私、最近古本屋をあちこち巡ることが増えてきました。もともとの古本屋との出会いは地元にあった、いかにも古本屋という感じの、今にもつぶれそうなお店だったんですが、それが高校生の時でした。友達にだまされて面白くない漫画のセットを買わされたのを覚えています。
ただ、そこで手に入れることになったのが、田中芳樹の『銀河英雄伝説』でしたから、その古本屋の存在意義は私にとって大きなものになったんですけど、今ではなくなってしまって、畳屋さんになってしまいました。
さて、想い出はとりあえず置いといて、最近古本屋のチェーン店が増えて、掘り出し物を探すのに躍起になっています。
現在の鹿児島県における双璧は「ブックマーケット」と「ブックオフ」。私の知る限りでは前者が、姶良店、鹿屋店、指宿店、宇宿店、そして今日草牟田店がオープンのはず。後者は川内店、国分店、鹿児島宇宿店、鹿児島荒田店。あとは中山と南栄にある「ブックロボ」など。
これらがいわゆるリサイクル系の古本屋で、「これまでの古本屋と比べて全体的に値段が安め」、「エッジを削って見た目がきれい」、そして「立ち読みがOK」というのが特色となってます。
この出店ラッシュを察知していたのか、鹿児島古本屋界の雄(笑)「満遊書店」は隼人、国分、鹿屋に出店し、さらには東開町に馬鹿でっかいのをこしらえるという、まさに古本屋戦国時代の様相(大げさ 笑)。ただし、こちらはリサイクル系とは言えませんね。先ほどの定義がすべて当てはまらないので。(立ち読みは可能だけど、リサイクル系のように歓迎はしていない)
チェーンごとの特色は、後に取っておくとして、とりあえず私のスタンダードは
「ブックマーケット姶良店」です。
なぜって、近いから(笑)。はじめて行ったとき、定価一万円弱の人物事典が「300円」っていうのは結構衝撃でしたね。姶良店は同じ「ブックマーケット」のなかでも値段が低めです。何でだろう?売れないんだろうね(笑)。
今狙っているのは・・・、秘密にしとこう(笑)。100円になったら買うつもりです。
(2000/6/14)
この間、中古CDを買おうと、中山と南栄の「ブックロボ」に行ってきました。特売フェアみたいなものをやっていて、通常の値段から、3割から5割安くなっていました。
こうしたイベントを打つのは、売り上げの悪い古本屋の店員だった私の経験上(笑)、売り上げの悪さを打開する契機としたいという営業上の一手段と考えられるのですが、実はそれほど効果があるとは考えにくいのです。というのも一律に値段を下げた場合、人気のある商品から売れるのは当たり前ですから、そうした集客力のある商品がなくなってしまい、それに連れて来店者数も落ち込んでしまうという結果につながる恐れがあります。
消費者としては、「欲しい商品が手に入った」、「あそこには商品がない」という印象は結構大事ですから、売り上げが好調であろうと、不調であろうと、次に同じ商品を仕入れる見通しの立たない古本屋が取るべき手段としては下策でしょう。ビデオレンタル店などでこれをやると、返却の際にも新規貸し出しが望めるので有効な手段なんですけど(店員としてはいやでしたけどね 笑)。
無論、こうした「特売」にも利点があって、いまある在庫を一気に処分することができます。ただ、古本屋というのは基本的に不良在庫の山なので(言い過ぎ?)、先ほど述べたように人気のある商品が真っ先に売れ、しかし、人気のない商品は結局大量に残ってしまうことが多いのです。当たり前ですが、売れる商品は高くても売れるし、売れない商品は安くても売れないのです。
こうして不良在庫は増えつづけ、気が付けば鹿児島市東開町の満遊書店のようになってしまいます。あれはあれでいいのですが、薄利多売が原則のリサイクル系ではあんな悠長な商売は出来ません。売れる人気商品をそろえ、回転数を上げなければならないのですが、特売をやってしまうとその人気商品をいつもより低価格で売るはめになってしまうのです。さらにそうした人気商品は買い取り価格も異常に高いですから、利益が出るはずはないのですが・・・。店頭で特売のチラシを見たとき、「あっ、危ないのかな?」と思ってしまったのですが、そうならないことを祈っています。
店にとってあまりすぐれた方策とは思えない特売は、じゃあ消費者にはいいことなのかと言えば、あながちそうとは言いきれません。ただでさえ価格の安いリサイクル系の古本屋で、これ以上安くして優良在庫がなくなってしまうのは、消費者にとってもあまり望むべき事態ではありません。
ちなみに以前、中山の「ブックロボ」で見かけたジャズのCDはあらかた売れてしまった後で、口惜しい思いをしました。つまり、今回はその恨み言だったのです。「特売やめてくれ」という(笑)。というわけで、上述した消費者にとっての不利益は、全く説得力を欠くものになってしまいました(もともとない? 笑)。
要は「いいタイミングで来店できるか?」という運の問題なんですよねー。
しっかし、ブックロボ中山店はジャズのCDを扱っている(というか在庫のある)数少ない古本屋なので、がんばって欲しいなぁ。
(2000/6/16)
前回、落ちをつけるためにあまりにもいい加減な消費者の不利益をでっち上げてしまい、ちょっと恥ずかしくなって、間を空けずに第三回に着手しました。どうぞあきれることなくお付き合い下さい。
私がリサイクル系の古本屋のどこに魅力を感じているかというと、本のもともとの定価と販売価格の落差にあります。これまでの一般的な古本屋では、本の状態にもよりますが、定価の半額というのが相場(そして買い取りは一割)。それがリサイクル系の古本屋ではもとの定価に関わらず、一律300円前後(単行本の場合)。専門書の場合、定価が1000円を下ることはありませんから、特にこの格差を享受することが出来ます。
以前も書いたように、私がはじめてリサイクル系の古本屋に行ったとき、手に入れた朝日人物事典は定価が1万円前後したのに価格は300円。最近手に入れた碧海純一の『法哲学概論』は定価3610円が200円。この、本の価値を全く無視した価格の付け方が私は大好きです(笑)。しかし、よくよく考えてみれば、リサイクル系の古本屋にとって専門書の類は不良在庫に過ぎず、私のような消費者は珍しいのかもしれません。それに人気のコミックスや単行本に関して言えば、かなり高めの値段設定になっていますから、必ずしも価値を無視しているとは言い切れませんね。定価に本の価値が比例するわけではないですし。
ともあれ、この人気本重視、専門書軽視の傾向が特に強いのが「ブックマーケット」なのです。
面白いのはチェーン店なのに、店舗ごとの値段の付け方に差があること。チェーンごとってのなら分かる気がするんですけどね。どうやら最も数の多い価格帯(以下「一般価格」と表記)などは店舗ごとの裁量に任されているようです。
「ブックマーケット」のなかでも、単行本の最低価格が100円で、一般価格が一律300円と低めなのが姶良店です。最近オープンした草牟田店は一般価格が200円と低めなのですが、これは全てに当てはまるものではなく、300〜500円の本も確認できました。姶良店に比べると本の価値を知っているようです(笑)。
ちなみに「人重専軽」の傾向に順位をつけると・・・、
1.ブックマーケット
2.ブックロボ
3.ブックオフ
4.満遊書店
こんなところでしょうか。下に行くほど定価重視・価値重視で、定価より安いといってもなかなか専門書には手が出なくて、一度に何冊もというわけにはいきません。満遊書店に到っては、絶版か、値上がりを予想したのか、新刊の値段よりも高くなっていた本を見たことあります。新品買うっちゅうねん(笑)。
(2000/7/28)
以前、「危ないかも」と書いていた「ブックロボ」中山店、7月一杯で閉店だそうです。うーん、あの辺は似たようなお店はなくて(普通の古本屋はある)、ゲームやCD、トレカがあるのは強みだと思ったんですが・・・、残念です。南栄店は存続するようで何よりですが、南栄店にはジャズCDないんだよねぇ。
最近、さらに古本屋の競争が激化しています。特に注目は隼人・国分。
国道10線から隼人町・見次交差点を経て国分市街に入り、第一工大に至る間に満遊書店が2店舗とブックオフ、そして近々ブックマーケットが開店する模様。どうするんだろう?(笑)。私は手近なところにブックマーケットが出来てうれしいんですが・・・。
満遊書店は対決姿勢を強めていて、他店舗より高い買い取りを表明する張り紙を張り、なんと客が座れるように丸いイスまで用意しています(隼人店で確認)。「他の人の迷惑にならないようにご自由にお使い下さい」との注意書きはありますが、あの満遊書店がこんなことするなんて(笑)。でも鹿児島市内の満遊書店は接客態度かなり悪いですが、隼人と国分は結構いいんですよね(というか普通)。
ブックオフも書棚の高さを二倍にして、在庫を強化。これがブックマーケット対策なのかは知らないけど。単に在庫が増えただけだったりして(笑)。バイトを募集しているので経営危機というところまではいってないでしょう。
しかし、いい加減お客さんのほうにも「売り物」がないんじゃないのかなぁ?
満遊書店は「高価買い取り」、「買い取りは他店に負けません!」と標榜しているし。とりあえず、ブックオフは当分買い取りに苦労するのでは。前にも書きましたが、人気商品がないとリサイクル系の古本屋は困ったことなるので苦しくなりそう。不良在庫は不良在庫を呼ぶし。まさか各店舗の不良在庫を分散するために新店舗を増やしてるんじゃあるまいね(笑)?まさかね。
しかし、古本屋が増えすぎて、新刊の売れ行きもあやしくなるのでは?。そうなると悪循環だなぁ。
ん?!、何かこれって、中古ソフトに反対するゲームメーカーと似たような見解(笑)。そのうち、出版社とかが「定価を上げる」とか言い出したりして。いや、何も言わずに定価上げるね、多分(笑)。
(2000/8/17)
前回書いた国分・隼人地区ですが、買い取り価格がアップしています。満遊書店は前回書いたとおりですが、これに危機感を抱いたのかブックオフは20%アップを謳っています。本を大量に売りたい方は狙い目かも(と書いた矢先に20%アップは終わったみたいです)。
さて、
古本屋の総数というのはほぼ一定なのだそうですが、最近目に見えて増えてきました。不景気ということもあって、価格の安い古本屋さんを利用する方が−そして新規に古本屋をはじめられる方も−増えているのでしょうが、そうはいっても増えすぎの感があります。どこが生き残るのか、それを見極めるにはもう少し時間が必要なようです。
先日、熊本に行く機会がありました。行く先々にブックマーケットがあるんですよね。もちろん下調べして行ったんですけど(笑)。熊本のブックマーケットに感じたのは単行本の数が圧倒的に少ないということ。姶良店と比較すると棚にして4〜5つは少ないのではないかという店舗もありました。このコミック中心の品揃えにはガッカリしたんですが、どうもこれからは鹿児島のブックマーケットもこうなっていくのではと思えたりもします。
以前書いたようにブックマーケットでは、専門書に限らず、発売したばかりの人気本を除く単行本の値段は低めに設定されています。とすると一部をのぞく単行本の買い取り価格はだいたい想像がつきそうなものです。なるべく高く買ってもらいたいというのが人情ってモノでしょうから、在庫は減ってしまいそうです。このままであれば、本部の方針に関わらず、今後はコミック、ゲームを中心に動くことになるのではないでしょうか。
ただ、これが時間と共に推移するものなのかもイマイチ確信が持てていません。というのも最近オープンしたばかりの吉野店もコミック中心の品揃えになっているからです。今のところ鹿児島では特異なケースで、子どもの多い住宅地という地理的な条件を考慮しての方針である可能性も否定は出来ません。
とはいえ単行本の多い姶良も住宅地ですし、熊本で目に付いたコミック中心の店舗はすべて市街地にありましたから、地理的条件を分析した上で商品の内容を区別しているとも言いきれない。どのくらいマーケットリサーチしているのか・・・。私が外から見えるのはとりあえずこの辺までです。後はバイトでもはじめて内部調査しなくては(笑)。
コミック中心のブックマーケットが生き残るのか、あるいは高めの価格設定で品揃えをよくするブックオフが生き残るのか、それともうまく住み分けるのか、はたまた新手の新興企業が現れるのか、やはりまだはっきりとは言いきれる段階ではないようです。