Alexandrium catenella

アレキサンドリム カテネラ
赤潮生物種 : Alexandrium catanella (Whedon et Kofoid) Balech

渦鞭毛藻網ペリディニウム目ゴニオラックス科
      Gonyaulax catenella WHEDON & KOFOID
 細胞は長さ30〜40μ,上下にやや圧縮された球形で,長さ/横径は0.7〜0.9の範囲にあり,
1以上にはならない。上殻と下殻の大きさはほぼ等しい。上殻の左右両縁は膨出するが,通
常は腹側から見た左側より右側の方がやや張り出している。下殻の左側は少し凹んでいる。
頂角はない。横溝は細胞の中央にあり,その巾だけ左右でくい違っているが,上下に重なって
はいない。横溝は比較的深いが,翼片はない。細胞全体が薄膜(outer thecal membrane)で
包まれていて,横溝のところだけLMでこれが見えるので,WHEDON
ら(1936)の原記載ではこれをカ−テンフィンと記している。
 SEMでみると,縦溝の両側に小翼片があり,LMではこれがあたかも小棘のようにみえる。頂
板1′は菱形で,腹孔はない。頂板2′と4′は横の方向(横溝に平行)に伸長しているが,頂
板3′は縦の方向(頂孔の方向)に伸びている。前帯板6″の形は4角形。後帯板1′′′ は
非常に小さいが,その形はほぼ長方形である。後間板1pは長さより巾広く,後帯板2′′′と
底板1′′′′によって囲まれている。腹部の2枚の腹板はほぼ同大で,容易に識別できる。
後腹板には後部接続孔がある。
 群体はふつう2〜4個の細胞からなるが,8個が連鎖することもある。色素体は深黄緑色から
褐色。核はU字型で細胞のほぼ中央にあり,U字型は常に腹側に向いて開いている。原産地
の米国西岸では,海水温9.5〜16.0℃に出現し,盛期は14〜15℃という。
日本では,本種の原記載によく符号するものが1977年11月に釜石湾で赤潮を形成した。
(TORIUMIら,1979)。本種を餌とした二枚貝は麻痺性の毒を体内に蓄積し,食べた人は中毒
する。精製された毒物はサキシトキシン(saxitoxin)と命名されている。
 POSTEK&Cox(1976)は,本種の原記載でカ−テンフィンとされていたものが,細胞全体を包
む薄膜であることを明らかにした。しかし,その報文でG.catenellaとされた標本は,細胞が殆ど
圧縮された形ではないことと,写真の中に腹孔が明らかにみられるので,果たして本種である
かどうか疑わしい。

顕微鏡写真


過去の赤潮発生例

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