Heterosigma akashiwo
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体は黄褐色〜褐色,単細胞,ほぼ楕円形で,偏平,大きさは8〜25μm×6〜15μm厚さは
変化に富む。細胞の前端は鈍円,後端は尖る。肩部から腹部にかけて浅い螺旋状の凹部を もつ。細胞前端から体長の1/3〜1/4後方の凹部より2本の亜等長の鞭毛がでる。1本の鞭毛 は凹部に沿って前方に伸び,他の1本は後方に曳くように伸びる。両鞭毛とも体長の1〜1.5倍 の長さである。藻体は前後にほぼ直線状に伸びた2本の鞭毛を軸として回転しながら泳ぐ。細 胞は光学顕微鏡では見えないうすい寒天様物質でおおわれる。核は涙敵状で1ないし数個の 仁をもち,細胞中央に位置する。葉緑体は円盤状で,細胞周縁部に10〜30個分布する。ピレ ノイドは葉緑体に1個存在するが,LM下では確認しにくい。細胞表面直下にはオスミック酸に 好染する脂質性の顆粒(脂質小体)が多数散在する。眼点,収縮胞および粘液胞はない。無 性生殖は二分裂で,泳ぎながら行う。シスト形成,有性生殖は未知である。
本種は沿岸性の赤潮の優占種である。日本では春から秋にかけて頻繁に,冬にもまれに赤
潮を形成する。本邦での分布は北海道小樽から沖縄本島糸満にかけての亜寒帯〜亜熱帯の 沿岸で,港,河口,湾内などの汽水性の水域から沖合の広い範囲に及ぶ。本種は顕著な鉛直 移動習性を示す。昼夜あるいは明期暗期に呼応して規則的に上下移動し,日中は表層に夜 間は底層に集積する。この習性は概日リズムに従った現象であることが知られる。
〔記述:原 慶明〕
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