** 予防接種について **

:予防接種が伝染病の予防対策のひとつとして果たしてきた役割は皆さんご承知の通りです。 ところが、痘瘡やポリオ、麻疹、風疹、DPT等のように良く効くワクチンもあるのに、エイズのように中々有効なワクチンが出来ない伝染病がありますが、なぜでしょう?

:人間の身体は病原体の進入によって相当に痛められ傷つきますが、身体にも抵抗力があり、病原体を排除して、自然治癒する働きがあります。しかも以前進入して痛められた病原体は確りと覚えているのです。そこで次回の進入は阻止される。これが今、一般的に使われているワクチン製造の基本原理で、免疫効果を有効に使っているわけです。
一方エイズウイルスは人間の体内のリンパ等の血液と仲良くなってしまい、これを外敵と認識する反応が鈍くなってしまっているのです。要するに、「いくら重症になる感染症でも、自然治癒するものにはワクチンができるが、自然治癒の見込みの無い病原体にはワクチンは無理だ。」と言う事になりそうです。

:予防接種は注射でなければいけませんか?

:赤ちゃんに注射をするのは嫌です。ポリオワクチンは経口投与です。麻疹、風疹、おたふくかぜ、インフルエンザ等いずれも空気感染ですから、経口又は噴霧投与は可能です。注射の場合1000TCIDの感染価が必要ですが、噴霧だと更に1000倍以上の感染価が必要です。ところが生物は100万個に1個の割合で突然変異が起こります。現にポリオワクチン由来の軽症麻痺例が年に1例位報告されています。だからポリオワクチンは集団で一斉に投与されているのです。経口投与の場合、数千万個の高濃度の投与が必要なわけで、ワクチン株がいつ突然変異するかわからない危険性があるわけです。そこで、副反応の少ないテイク率の高いワクチンの開発に、研究者は燃えています。

:もし副反応が出たらどうすれば良いのでしょうか?

:取り敢えず、接種した医師と連絡を取って下さい。予防接種は法律で市町村長の依頼によって実施されておりますので、最終的には自治体の長が責任をとることになりますが、治療の専門家ではありませんので、担当医又はかかりつけ医と良く相談する事をお勧めします。

 インフルエンザの予防接種を受けましょう

:インフルエンザは毎年冬になると流行を繰り返し、数年毎に大きな流行を繰り返します。症状は急激な発熱、喉の痛み、咳、くしゃみですが、ときに脳炎、筋肉炎、心筋炎等の合併症をおこします。 インフルエンザはインフルエンザウィルスによって起こりますが、このウィルスを殺す薬はありませんので、対症療法が治療の基本です。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、完全な予防にはなりませんが、重症化の防止には効果が高いのです。抵抗力の低い小児や老人にはお勧め致します。ワクチンは1回でなく、3〜4週後に追加して2回接種する必要性がありますので、流行期の前、12月中にはすませる事が望ましいのです。副作用は殆どゼロです。

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