鹿児島県のO157流行状況について

 Q:食中毒の発生しやすい季節ですが、関西、北部九州に比べ、 南九州にはO157等ベロ毒素産生菌の流行は少ないのでしょうか?
鹿児島は黒豚、黒牛で有名なのに、管理がうまくいっているのでしょうか?
下痢患者への対処の仕方についてコメント下さい。  

A:  鹿児島県では平成10年度、0157:28例、011 1:18例、026:13例、計59例の発生がありました。
更に平成11年は、7月14日現在、0157:17例、0111:13例、026: 2例、0114:1例、血清型不明1例、計34例が発生しております。
幸い集団発生はありませんが、保菌者を同時に数例発見出来た例もありますので、油断大敵です。
散発例が年間50例位はあるわけですが、堺市での集団発生を契機に、便の細菌検査が良く行われるようになったのは、不幸中の幸いでした。
鹿児島市立病院の溶血性腎炎のレトロスペクティブな検査では、O157抗体が高かったと言う報告も ありますので、以前からベロ毒素産生大腸菌には、結構汚染されていたと推定できます。
小児科医では下痢止めの薬として、タンナルビン、ロペミンなどは殆ど使いません。
悪い毒素は流してしまうのが理に適っています。
最近、立派な経口補液剤も開発されており、点滴補液を要するよ うな重症にならないうちに治療するのが先決だと思います。
下痢症の起炎菌はグラム陰性桿菌が主なので、ホスミシンを第一選択に使います。
下痢症の治療の要諦は食事指導と栄養管理、殊に脱水症の予防が大事です。

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