麻疹と水痘の違い

 Q:  麻疹と水痘はどう違うのでしょうか。
小児科の講義では習いましたが、実際診たことがありません。 また、一般的に、みずぼうそう、と言われている疾患は、 麻疹なのでしょうか、水痘なのでしょうか?
急病センター等に出向して、発熱した子どもを診なければならない時は気が重いのですが?  

A: 発疹性疾患を正しく観察し、診断治療することは、小児 科医には厳しく要求されています。
発疹が出来上がった 教科書的な病時期にあれば、一目で診断出来ることが多いのですが、病初 期の疑わしい時期に正しく診断するには、小児科医でも 腕の違いがあります。
色々な検査結果を待って診断する のでなく、問診と視診、経験で鍛えられた勘で診断しなければなりません。
水痘は全身に水泡が出来ます、水泡の無いところは健状 です。麻疹は水泡でなく、紅斑ですが、将に全身性の発 疹です。
水痘は熱も出ますが持続性高熱は少ないようで す、下手に解熱剤を使うと、ライ症候群を併発させる危 険性があります。麻疹は二峯性高熱が特徴的です、しか も4、5日続きます。発疹の出る前に、コプリック班や口内疹が見られますが、煤けたような顔つきになるのも特徴です。
中耳炎、肺炎、髄膜炎、昔なら結核の悪化等など色々の合併症を発生しやすい恐い 病気です。
水痘にはゾビラックスが良く効きます。麻疹 にはガンマーグロブリンが有効ではありますが、血液製 剤であり、免疫抑制剤であるため、一般的には使用しま せん。当然対症療法が主になります。腕の見せ所です。
予防接種が進歩して、生の麻疹や水痘を診る機会は少な くなったのかも知れませんが、小児科医としては淋しいことですね。
みずぼうそうとは水痘のことです。水疱瘡と古い書物には書かれております。
予防接種のお陰で痘瘡は駆逐出来ました。痘瘡の恐かった時代には水痘との鑑別が大事な腕のみせどころだったのでしょうね。  

Q: 水痘と帯状疱疹の治療やゾビラックス細粒の使い方について如何でしょうか?
将来的に帯状疱疹の発生を抑制する可能性はあるのでしょうか?

A: 水痘は潜伏期が2〜3週間です。明瞭な感染が予想され れば、発病前に使用しても効果があるようですが、小生 は予防としては使っておりません。発疹を確認してから 使っています。初期に使うほど軽くて済むようです。
最近、私は水痘に二度罹った例を3例経験しました。 ゾビラックスの予防投薬や水痘ワクチンが帯状 庖疹の発生をも抑制する可能性はあっても、確実か否か は今後の症例待ちだろうと思います。
4〜50年先のことになりますので...。

目次へ戻る     トップページへ戻る