
上手な診療の受け方
Q: 子供が少しでも普段と様子が違うと、すぐにお医者様の所にとんで行ってしまいます。
そして、何時も丁寧に診ていただいて帰ってくるのですが、慌てもののためと長話の為に、他の患者さんに申し訳ないような気がします。
で、診察室を出た後や家に帰ってきてから、あっ!尋ねるのを忘れたとか、こんな時はどうすれば良いのかしら?と、些細なことが気になったりします。
でも、そんな時には、大抵もう一度受診しに行くほどでなかったり、質問のためだけに病院に行くこともできず、その疑問を持ったまま・・・ということになります。A:医者も患者さんとは同じ目の高さで接するよう心掛けてはおりますが、お「医者様」と敬語を重複して言われるくらい、目線の高い医師も多いのは確かです。
目線が高いと、聞きたいことも聞けなかったり、緊張して、聞きたいことを忘れたりすることがあります。
行く前に訴えたいことや、聞きたいことをメモして行かれたら如何でしょうか?
医師も結構忙しいので、くどくど聞かれるよりも助かることが多いようです。
そこで、思い付くままに、小児科医への「上手な診療の受け方」を書いて見ましたのでご参照下さい。
1.症状を一番良く知っている人が連れて行く
子どもは自分で病状は表現出来ません。そこで連れて行く人は病状を一番良く知っている人がご一緒して下さい。
2.脱がせやすい服装で行く
子どもの病気は例え怪我であっても、全身を裸にして診る必要があります。脱ぎ難い衣装でなく、脱着の簡単な服装で受診して下さい。
3.症状や疑問点は聞き忘れが無いようにメモして行きましょう
緊張して聞き忘れや、疑問を残したままでは、不安が募るばかりです。聞きたいことや、言いたいことはきちんとメモにしてお尋ね下さい。
4.吐物やうんちはビニールに包んで持参する
吐物やうんちの異常を心配しての受診は結構多いのですが、診察の時、大事な証拠物件が無く困ることが多々あります。何ら遠慮は要りません。医者は不潔なものには慣れています。ご遠慮なく持参して見せて頂くと、その場で診断がつくことがあります。
嫌がる採血や検査より、遥かに役立つ、良い医療情報を提供することが多いのです。
5.飲みやすい薬は、水剤か、散剤か診察前に告げること
小児科の薬には水剤や散剤がありますが好き嫌いは各人各様です。
小児科医は錠剤は殆ど出しません。調剤した薬は変更が難しいのです。廃棄するには勿体無い気がします。
診察前に水薬が好きか、散薬が好きか申し出て下さると助かります。
6.秘密は守ります
医師は仕事上得られた知識を他人に漏らさず、秘密の厳守は法律で守られています。過去の病気や身体の異常は包み隠さず教えて下さい。相互に関係のある病状のことがあるからです。
7.診療前の飲食は避ける
診察には、喉を診たり、腹を押さえたり、嘔吐し易い診療行為はつき物です。
診察前の飲食は控えて下さい。
8.おしっこはコップへ
子どもは緊張して、診察前におしっこを訴えることがあります。ところが、診察後おしっこを調べたくても、必要な時には、中々出ないものです。
待合室で、 診察前におしっこを訴えたら、遠慮無く、受付に申し出て、コップをもらって、おしっこを取っておいて下さい。貴重な検査資料になるものです。
9.遠慮無く何でも聞きましょう
良い医者程患者さんも多いのです。他の患者さんに気を使わず、聞きたいことは遠慮無く聞いて十分納得するまで、話し合って、納得してからお帰り下さい。
10.締め切り間際の診察は出来るだけご遠慮下さい
良い医者は、仲間からも尊敬されて、色々の役職に就いておられる方が多いのです。
自院の仕事がすんだら公務の仕事に追われているのが普通です。
締め切り間際でなく、時間的にはゆとりある受診をお願い致します。
11.医者離れ、患者離れ
医学の進歩で、臓器別の専門化が進みました。開業医は手におえない、あるいは専門外だと判断したら、適当な専門家に紹介する傾向が強くなりました。患者さんにとっても良いことです。
ところが専門家の他の医師にかかっていることを遠慮して言わない方が時々見られます。
患者離れ、医者離れは自然の流れでしょう。
現在、誰先生に罹っていて、どのような薬を服用している等、ご遠慮なく教えて下さい。
12.有り難う
医者も感情にどっぷりの人間です。診察が済んで帰る間際に「ありがとうございました。」の一言を聞くと 全身の緊張が取れてほっとします。
次の来院時には笑顔で迎えられる事になるかもしれません。そしてコミュニケイションもうまくゆくのです。
是非帰る間際には、感謝の心を表現して欲しいと思います。
13.その他
その他、保険証を忘れるな、慌てての受診は交通事故に気を付けろ、他人の評判より自分の気に入った病院を選べ、等々ご参考にして下さい。
(平成12年2月9日)
