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事業計画
事業計画 基本方針
日本医師会会長に民主党と太いパイプを有する原中氏が選出され、日本医師会にも新しいページが刻まれことになった。
ところで、WHOの健康寿命と健康達成度評価などで世界トップの評価がなされ、世界に誇れるわが国の「国民皆保険制度」であるが、世界でもかって経験したことのない超高齢化・少子化社会の影響で医療保険制度そのものの存続の危機が囁かれている。
また、相次ぐ医療費適正化や新臨床研修制度の影響で、勤務医の疲弊化や医師の地域偏在が著明となり、産科・外科・小児科などの救急医療を中心に医療崩壊が続いている。
民主党への政権交代の中で、このような医療崩壊を食い止めるべく10年ぶりの診療報酬ネット0.19%のプラス改定がなされたが、この程度の改定ではとても満足できる医療制度の抜本的な改革は困難であることは明確である。
姶良郡医師会としては医道倫理の高揚や生涯教育の推進、および医療総合政策の研究など13項目の柱からなる事業計画を作成し、これらの中から5項目の最重要課題について検討を行った。
急性期医療の機能分化そして後方病床の確保と在宅医療へのシフトが問われている現状の中で、当医師会がいかに重要課題を絞り込んで対策を取れるかが重要な時期でもあり、霧島市立医師会医療センターと会員の先生方とが一緒になって、地域医療連携に真摯に取り組んでいかなければならない。
さて、20年1月に有床診療所の入院48時間規制撤廃でスタートした第5次医療制度改正であるが、現在は
- 4疾病と5事業の新医療計画
- 特定健診・特定保健指導の保険者への義務化
- 介護療養病床廃止に伴う地域ケア整備構想
などが着実に実施され、後期高齢者医療制度は廃止されることが決定されている。
新医療計画での、急性心筋梗塞、脳卒中、がん、糖尿病の4疾病の医療連携については、姶良・伊佐の二次医療圏で地区医師会と保健所が中心になって、医療連携体制のネットワーク作りが進められており、急性心筋梗塞、脳卒中、がんについては、その医療機能と医療機関名が県のホームページ上に掲載されている。
救急医療、災害時医療、周産期医療、へき地医療、小児救急医療の5疾病についても、医療資源の集約化・効率化を図って、行政など各関連機関とサービス提供のあり方を模索するように求められている。
本年度は糖尿病と救急医療についてネットワーク作りがなされる予定である。
特定健診・保健指導の保険者への義務化に関しては、介護予防事業の生活機能評価との関連もあり、かかりつけ医が高齢者をその地域でトータル的に把握できるように、できるだけ個別方式で実施されるように医師会としては主張してきた。
賛同を得た霧島市では、受診率が約43%とかなり高率であり、それにならって姶良市でも個別方式で実施されることが決まっており、医師会としては歓迎している。
一方、保健指導については、予算の問題から各市町は自前で実施しているがほとんど進捗しておらず、今後は私たち医師会主導で進めていかなければならない。
日本医師会も日医認定健康スポーツ医などが積極的に介入していくように指導している。
地域ケア整備構想に関しては、医師会としては「かかりつけ医機能の充実」や「高齢者の尊厳が保てる在宅生活の可能性」を視野に、歯科医師会や薬剤師会の先生方及び看護師やケアマネジャーなどと共に、入院から退院そして在宅に至るまで、先日立ち上げた「三師会ケアマネタイム」などを利用しながら、多職種の医療従事者との連携を進めていく所存である。
そうすることにより介護療養病床廃止に伴う地域ケア整備構想における、「高齢者が住みなれた地域において、介護サービスと在宅医療、そして多様な見守りを受けながら、安心して暮らしていけるという基盤作り」も現実的なものになると確信している。
今回の診療報酬改定でも2年後の医療と介護保険のダブル改正を見越して急性期医療機関と在宅医療との連携がスムースに進むような点数設定が見られている。
最期に、この地域で中核的役割を担っていく医師会医療センターは、「7:1看護体制」、「DPC導入及び電子カルテ化」などに積極的に取り組んでいき、急性期病院としてより専門化・特殊化して医師会員の中核存在としての医療連携体制の構築が強く求められている。
4月から脳神経外科も2人体制となり、この地域の急性期医療がますます充実していくものと思われる。
重要課題
◎急性期医療から在宅医療への切れ目のない医療連携体制の確立
- がん、糖尿病、急性心筋梗塞、脳卒中の4疾病の医療連携と救急医療連携と災害時医療、周産期医療、へき地医療、小児救急医療の5事業の医療サービス提供のあり方について、今後も行政や各関連機関とクリティカルパスを用いての連携を進め、地域住民の安心・安全環境作りのためのネットワーク形成を行う。
- 現在、すでに取り組んでいる姶良地区循環器ネットワーク(CCU)と急性心筋梗塞ネットワーク、脳卒中ネットワーク、がんネットワーク、災害時救急ネットワークの更なる充実と糖尿病と救急医療ネットワークの新たな作成を目指す。
- 急性期医療機関と維持期・在宅医療機関の連携による切れ目のない医療連携体制の確立。
◎医師会医療センターの急性期医療体制の整備と地域支援病院として充実化
- DPCや7:1看護体制などの急性期医療体制の整備と電子カルテシステムの構築。
- 医師会会員の先生方との医療連携システム充実(開放型病院機能の充実、診療報酬改定に沿った多職種の医療関連従事者との連携促進など)。
- 小児科と内科の準夜帯の一次救急医療の維持。小児科常勤医の確保。
- 看護教育及び看護実習医療機関としての新たな役割。
◎特定健診・特定保健指導など新しい健診システムへ取り組み
- 個別方式による会員の先生方による特定健診の更なる充実と、医師会主導による保健指導への積極的な支援体制の確立。
- 医師会主催による市民公開講座など地域住民を巻き込んでの健康増進のための啓蒙活動の推進。
◎介護療養病床廃止に伴う「地域ケア整備構想」への積極的な支援
- 保健所、地域包括支援センター、居宅支援事業所及び訪問看護ステーションとの連携の拡大による、高齢者が安心・安全に暮らせる地域環境整備。
- 歯科医師、薬剤師、看護師等、ケアマャー及び社会福祉士など多職種との連携による在宅医療充実の支援。
- 多様な地域での見守りによる、高齢者が尊厳を保ち、家族の納得できる安心・安全な地域ケア整備の充実。
◎予想される困難事態に対する積極的な医療総合政策の取り組み
- 政権交代による私たち医療機関への影響などについて検討を行い、今後も地元出身の国会議員、県会議員、市・町議員の方と三師会の先生方との意見交換を促進する。
- 後期高齢者医療制度の廃止や介護療養病床廃止などによる医療費適正化の進む中、病院・医院の経営安定化に向けた医療・介護情報の収集と専門講師による研修会の開催。
- 医師会員の先生方にとってもっと充実した医師会報作成や市民公開講座などを利用した会員の先生方及び一般市民への広報活動の実施。
- 新公益法人制度への取り組み。
事業計画
1.医道倫理の高揚
全人的、包括的医療に根ざした医療倫理の高揚に努め、会員の資質の向上・自浄作用の活性化及び親睦と強調を重視し、インフォームドコンセントなど医療の信頼や住民からの敬意を確保するよう努める。
2.生涯教育の推進
日本医師会の指針に従い、生涯教育制度に積極的に取り組み、医学的・医学的課題を取り上げて講演会・会員発表の医学会の開催及び国公立病院との連携を密にして体験学習(病診連携)を推進する。
3.地域保健、医療、福祉対策の推進
市町村合併の進む中、中長期的展望に立って地域の実態を把握し、地域的特性を踏まえた地域医療計画並びに総合的医療システムのあり方を検討する。
- 母子(乳幼児)保健
小児保健・医療・福祉について国の「健やか親子21」、県の「健やか親子かごしま21」に基づき行政との連携強化を図る。
更に小児救急医療の充実、少子化対策支援について積極的に検討する。 - 学校保健
当地域は諸先輩の先生方のご功績により、心臓検診、腎臓検診、親子健康教室など県に誇れる学校保健事業がなされてきた。
今後も地域医療の軸として学校保健をとらえ、学校医のみならず全ての医師がかかわることにより、生涯保健ひいては地域保健の向上に寄与する。
特に小児生活習慣病については学術専門団体として活動を促進する。また、乳幼児保健との連携強化を図る。 - 精神保健
高齢化に伴う認知症の増加に対して、認知症かかりつけ医制度の充実を図り、民生員などの活動を利用しての認知症の早期発見・早期治療に努める。
また、厚生労働省は「精神障害者地域移行支援特別対策事業」を創設し、平成23年度までに3万7千人を地域生活に移行させようとしている。医師会としても中長期的にこれらの事業に対しても意見を具していきたい。 - 産業保健
地域産業保健センター事業を通じ、加重労働やうつ病対策など地区内事業所の健康管理への認識と関心を高め、会員への認定産業医制度へ積極的参加、産業医活動の充実を図る。 - 成人・老人保健
特定健診・特定保健指導の積極的支援体制の確保。介護予防事業での生活機能評価などの健診事業を通しての特定高齢者把握事業への参加の支援を行う。 - 地域医療福祉と在宅医療の充実
後期高齢者医療制度創設による高齢者の安心・安全で尊厳の保てる在宅医療の充実のため、かかりつけ医機能の充実と多職種の医療従事者の連携の強化。 - 救急医療・感染症対策
急性心筋梗塞や脳卒中などの医師会中心のネットワーク作りや、災害時救急や小児救急体制などの整備。また、新型インフルエンザなど国家レベルでの危機管理体制への協力・支援。 - 医療情報システムの検討・推進
医師会のホームページなどの充実化による医師会員との連携強化や広報活動の促進、医療センターの電子カルテの推進、情報化時代に対応するためのPC導入支援、医療機関の情報処理能力の向上と医師会関連の情報の双方向化。
4.医療センター管理運営体制の確立
霧島市立医師会医療センターを、救急医療など急性期を担う中核病院として位置づけ、7:1看護体制の整備、DPC導入、電子カルテ化など実施して、医師会員の後方支援病院として、霧島市との連携・協議を重ねながら充実した管理・運営が行われるように努める。
5.医療政策の研究
医療費適正化の下、厳しい医療事業に対し会員からの要請に対応すべく医業経営の安定化を図る。また、公益法人制度改革や医師会医療センターの指定管理者制度に向けた対策などを行う。
6.医療従事者の養成、資質の向上、定着の促進
医療従事者の離職防止対策、再就職を含めた確保体制を通じ、節度あるコ・メディカル確保を図る。
7.保険及び諸法
- 介護保険
介護認定審査会への医師派遣や地域包括支援センターとの連携など医療・福祉複合化時代に向けての医師会の役割の遂行。
介護療養病床廃止に伴う地域整備構想への対応。 - 医療保険
医療費適正化のもとで実施されている第5次医療制度改正に対し、医師会としての問題点などを的確に把握し、県医師会と連携して行政に改善を求めていく。 - 労災・自賠責保
- 母体保護
- 個人情報保護
8.医療事故防止・医事紛争処理
9.開業医と勤務医との連携強化
勤務医の疲弊化による救急医療の崩壊などに対して、開業医との連携が強く求められている。
医療センターでは小児科と内科の準夜帯で勤務医の負担軽減を図っているが、当地区での問題点を再点検して対応する。
10.支部との連携強化
行政・地域住民と密着している支部との連携を図り、諸課題・問題点の公開・検討を重ねて、広報活動の充実・地域への還元・貢献を活性化する。
11.医業経営の安定・近代化
激動変革する医療情勢を迅速・的確にとらえ、現状の問題にどのように対処すべきか課題解決のため、中央情勢に精通する講師による研修・勉強会等を重ねると共に、会員の英知を集結し、経営安定化を期するように努力する。
12.会員福祉の増進
13.関係機関・協議会との連携
新医療計画制度、特定健診・保健指導の実施、地域ケア整備構想など医師会にとって大変重要な医療制度の改正が実施されようとしている。
これらのすべての事業が行政や各関連機関との密接な連携が求められており、各種の協議会も開催されることが予想される。担当理事を中心に県医師会とも歩調を合わせて取り組んでいきたい。
